
ウェルネスの7つの次元を育むワーク|自分を大切にするための実践ガイド
ウェルネスの7つの次元を知ると、身体の健康だけでなく、心、人とのつながり、仕事、環境、生き方まで、さまざまな側面が私たちの健やかさを支えていることが見えてきます。
けれども、考え方を理解することと、それを毎日の暮らしの中で育てていくことは、少し異なります。
身体を休めた方がよいと分かっていても、つい頑張り続けてしまうことがあります。心の声に耳を傾けたいと思っていても、忙しさの中で後回しになってしまう日もあるでしょう。
だからこそ、ウェルネスを育むときには、大きく暮らしを変えようとするのではなく、今の生活に無理なく加えられる小さな実践から始めることが大切です。
この記事では、ウェルネスの7つの次元に対応した、日常の中で取り組める7つのワークをご紹介します。
すべてを一度に行う必要はありません。
今の自分が少し心惹かれるものや、「これならできそう」と感じるものを一つ選び、自分を大切にするための小さな時間として取り入れてみてください。
ウェルネスの7つの次元がそれぞれ何を表しているのかについては、関連記事で詳しく解説しています。
ウェルネスを育むワークは、自分の現在地に気づく時間
ウェルネスのための実践は、理想的な生活を完成させるための課題ではありません。
毎日運動することも、部屋をきれいに保つことも、いつも前向きでいることも、すべてを完璧に続けようとすれば、いつの間にか新しい負担になってしまいます。
大切なのは、何かを達成することよりも、今の自分がどのような状態にあるのかに気づくことです。
身体が少し緊張している。
心の中に言葉にならない疲れがある。
最近、誰かとゆっくり話せていない。
仕事や家事に追われ、自分ができたことを振り返る余裕がなかった。
こうした小さな気づきが、自分に必要なものを選ぶ手がかりになります。
7つのワークは、自分の足りないところを探すためのものではありません。
日々の中で少し遠くなっていた自分自身へ、静かに戻ってくるための時間です。
7つの次元を育むための小さなワーク
ここからは、身体、心、知性、人とのつながり、環境、仕事、霊性という7つの側面に合わせた実践を見ていきましょう。
必要な時間は、どれも数分から10分ほどです。
決められたとおりに行うことよりも、自分が心地よく続けられる形へ整えていくことを大切にしてください。
1.身体的ウェルネス|身体の緊張をほどく5分間
一日の中で、私たちの身体には少しずつ緊張が積み重なっています。
長時間のデスクワークやスマートフォンの使用、立ち仕事、家事や育児などによって、首や肩、背中、腰に力が入ったままになっていることも少なくありません。
まずは5分だけ、身体の感覚へ意識を向けてみましょう。
ワークの方法
椅子や床に、無理のない姿勢で座ります。
一度ゆっくり息を吐き、肩の力を抜きましょう。
首を右へゆっくり傾け、左側の首筋が心地よく伸びるところで10秒ほど止まります。反対側も同じように行います。
次に、肩を前から後ろへ大きく5回ほど回します。肩甲骨の周りが動いていることを感じながら、呼吸を止めずに行ってください。
最後に両腕を上へ伸ばし、背中や脇腹をゆったり伸ばします。余裕があれば、腕を下ろしながら深く息を吐いてみましょう。
首や肩に痛み、しびれ、めまいなどがある場合や、通院中の症状がある場合は、無理に行わず、医師に相談のうえで実施してください。
この時間に意識したいこと
身体がどこまで曲がるか、どれほど柔らかいかを評価する必要はありません。
「肩が少し重かったんだな」「今日は背中が張っているな」と、今の身体の状態を感じるだけでも十分です。
痛みがあるところを無理に伸ばしたり、反動をつけたりせず、心地よい範囲で行いましょう。
朝の目覚めのあとや入浴後、眠る前など、自分が取り入れやすい時間に行うと、生活の中に自然になじみやすくなります。
2.精神的・感情的ウェルネス|今の気持ちを一つだけ書く
一日の中では、さまざまな出来事が起こります。
うれしいことがあっても、そのあとに忙しい時間が続けば、味わう間もなく忘れてしまうことがあります。反対に、少し引っかかった言葉や出来事が、心の奥に残り続けることもあるでしょう。
一日の終わりに、今の気持ちを一つだけ言葉にしてみましょう。
ワークの方法
ノートや手帳、スマートフォンのメモを開き、次の文章を完成させます。
「今の私は、少し____と感じている」
空欄には、そのとき思い浮かんだ言葉を入れてみてください。
「安心している」「疲れている」「寂しい」「ほっとしている」「よく分からない」など、どのような言葉でも構いません。
書けそうであれば、その下にもう一行だけ加えてみます。
「そう感じているのは、____があったから」
理由が分からないときは、無理に見つけようとせず、「理由はまだ分からない」と書いても大丈夫です。
この時間に意識したいこと
前向きな気持ちへ変えようとしたり、正しい感情を選ぼうとしたりする必要はありません。
感情は、良いものと悪いものに分けるためではなく、自分の内側で何が起きているのかを知るための手がかりになります。
一言だけでも書いておくと、自分が何に疲れ、何に安心し、どのような時間を求めているのかが、少しずつ見えやすくなります。
書くことが負担に感じる夜は、心の中で言葉にするだけでも構いません。
3.知的ウェルネス|心が動いた問いを一つ残す
知的ウェルネスを育むために、毎日たくさんの情報を集める必要はありません。
むしろ、情報があふれる暮らしの中では、自分が本当に興味を持ったことを見失わないことが大切です。
その日に心が少し動いた問いを、一つだけ残してみましょう。
ワークの方法
日常の中で「なぜだろう」「もう少し知りたい」と感じたことを一つ選びます。
たとえば、次のような小さな問いで十分です。
- 季節によって夕焼けの色が違って見えるのはなぜだろう
- この言葉は、いつ頃から使われているのだろう
- 眠る前に音楽を聴くと落ち着くのはなぜだろう
- この料理には、どのような歴史があるのだろう
問いをノートへ書いたら、その場ですぐに答えを探しても、週末にまとめて調べても構いません。
調べたあとには、分かったことを一文だけ自分の言葉で残してみましょう。
この時間に意識したいこと
知識を増やすことよりも、「自分は何に心を動かされるのか」を知ることを大切にします。
興味は、誰かに評価されるためのものではありません。
役に立つかどうかを考えず、ただ気になるものへ目を向ける時間が、思考や感性をゆっくり育ててくれます。
疲れている日は、調べることを休み、問いだけを書き残しておくのもよいでしょう。
4.社会的ウェルネス|一人の人へ、具体的な感謝を伝える
日々の暮らしは、多くの人の小さな支えによって成り立っています。
けれども、身近な関係ほど、そのありがたさを言葉にする機会を失いやすいものです。
一週間に一度だけ、誰か一人へ具体的な感謝を伝えてみましょう。
ワークの方法
家族、友人、同僚など、最近自分を支えてくれた人を一人思い浮かべます。
そして、「ありがとう」だけではなく、何がうれしかったのかを一言添えて伝えてみてください。
たとえば、次のような短い言葉で十分です。
「話を聞いてくれて、ありがとう。少し気持ちが軽くなったよ」
「忙しいときに手伝ってくれて、助かりました」
「いつも声をかけてくれることが、うれしいです」
直接伝えるのが難しいときは、メッセージでも構いません。
この時間に意識したいこと
立派な文章にしたり、特別な出来事を探したりする必要はありません。
日常の中のささやかな支えに気づき、それを言葉にすることが大切です。
また、人とのつながりを育てることは、いつも誰かに近づくことだけではありません。
疲れているときに誘いを断ることや、一人で静かに過ごす時間を選ぶことも、心地よい関係を守るための大切な実践です。
5.環境的ウェルネス|一か所だけ、呼吸しやすい場所にする
身の回りの環境は、目に見えないところで心や身体に影響を与えています。
視界に入る物が多い場所や、必要な物がなかなか見つからない状態では、それだけで小さな疲れが積み重なることがあります。
部屋全体を片づけようとせず、今日は一か所だけ整えてみましょう。
ワークの方法
机の上、枕元、バッグの中、洗面台など、普段目にする場所を一つ選びます。
タイマーを5分に設定し、その場所にある物を次の三つに分けます。
- 今ここで使うもの
- 別の場所へ戻すもの
- 手放してよいもの
5分が過ぎたら、途中でもいったん終わりにします。
最後に、その場所を眺めながら一度深呼吸してみましょう。
この時間に意識したいこと
きれいな部屋を完成させることが目的ではありません。
自分が少し落ち着いて過ごせる余白をつくることが、このワークの目的です。
物を減らさなくても、照明を少し落とす、窓を開ける、季節の花を飾る、肌触りのよい布へ替えるなど、自分に合う整え方があります。
「ここにいると少し呼吸しやすい」と感じられる場所を、暮らしの中に一つずつ増やしていきましょう。
6.職業的ウェルネス|今日果たした役割を一つ認める
仕事や家事、育児、介護などに向き合っていると、できなかったことや残っていることばかりが目に入りやすくなります。
一日の終わりに、今日自分が果たした役割を一つだけ振り返ってみましょう。
ワークの方法
ノートや手帳に、次の一文を書きます。
「今日、私ができたことは____」
大きな成果を書く必要はありません。
時間どおりに出勤した。必要な連絡を終えた。家族の食事を用意した。子どもの話を聞いた。疲れていたけれど、最後まで一つの作業を終えた。
どれも、その日の暮らしを支えた大切な行動です。
書いたあとに、「今日はここまででよい」と心の中で区切りをつけてみましょう。
この時間に意識したいこと
成果の大きさや、誰かからの評価を基準にしないことが大切です。
目立たない仕事や、名前のつかない家事、誰にも気づかれない気遣いも、日々を成り立たせています。
反省や改善について考える時間とは分けて、ここでは「すでにできたこと」だけに目を向けます。
頑張り続けるためではなく、一日の役割を静かに下ろすための振り返りにしてみてください。
7.霊的ウェルネス|静かな3分間で、大切なものへ戻る
予定や情報に追われる日々の中では、自分が何を感じ、何を大切にしたかったのかが見えにくくなることがあります。
一日のどこかで3分だけ立ち止まり、外側へ向いていた意識を自分の内側へ戻してみましょう。
ワークの方法
静かに過ごせる場所で、椅子に座るか、楽な姿勢になります。
目を閉じても、薄く開けたままでも構いません。
呼吸を変えようとせず、息が入ってくる感覚と、出ていく感覚を静かに見守ります。
考えごとが浮かんだときは、追いかけたり消そうとしたりせず、「今、考えていた」と気づき、再び呼吸へ意識を戻します。
3分ほど経ったら、最後に心の中で一つ問いかけてみましょう。
「今の私にとって、本当に大切なことは何だろう」
すぐに答えが浮かばなくても構いません。
この時間に意識したいこと
うまく集中することや、頭の中を空っぽにすることを目指す必要はありません。
思考が浮かぶたびに呼吸へ戻る、その繰り返しが、自分自身へ戻るための静かな時間になります。
呼吸に意識を向けることが合わない場合は、祈る、日記を書く、自然を眺める、好きな音楽を静かに聴くなど、自分が深いところで落ち着ける方法を選んでください。
今の自分に合うワークを選ぶために
どのワークから始めればよいか迷ったときは、今の自分の状態を簡単に振り返ってみましょう。
身体の疲れや緊張が強いと感じるなら、ストレッチから。
気持ちがまとまらず、心の中が落ち着かないなら、感情を一言書くワークから。
毎日が同じことの繰り返しに感じられるなら、小さな問いを残すワークから始めるのもよいでしょう。
誰かとの距離を感じているときは、具体的な感謝を伝える。家にいても落ち着かないときは、身の回りを一か所だけ整える。
仕事や役割に追われているときは、できたことを一つ認める。何を大切にしたいのか分からなくなったときは、静かな3分間を持つ。
頭で正しいものを選ぶよりも、今の自分が少し安心できそうなものを選んでみてください。
7日間で一つずつ試してみる
どのワークも気になるときは、一週間を使って一日一つずつ試してみる方法もあります。
- 1日目:身体の緊張をほどく
- 2日目:今の気持ちを言葉にする
- 3日目:心が動いた問いを一つ残す
- 4日目:一人の人へ感謝を伝える
- 5日目:身の回りを一か所整える
- 6日目:今日できたことを認める
- 7日目:静かな3分間を持つ
一週間が終わったら、どのワークが最も心地よかったかを振り返ります。
続けたいものが一つ見つかれば、それで十分です。
すべてを習慣にする必要はありません。自分の状態や季節、暮らしの変化に合わせて、そのとき必要な実践を選び直していきましょう。
無理なく続けるための三つのポイント
時間よりも、始めるきっかけを決める
「毎日20時に行う」と決めても、生活の予定によって続けにくくなることがあります。
その場合は、「歯を磨いたあと」「お風呂から上がったあと」「仕事を終えたあと」など、普段の行動と結びつけると取り入れやすくなります。
できなかった日を数えない
疲れている日や、予定どおりに過ごせない日は誰にでもあります。
一日できなかったことで、それまでの実践がなくなるわけではありません。
また思い出した日に戻ればよい、と考えておきましょう。
自分に合わない方法は変えてよい
紙に書くことが負担なら、スマートフォンへ入力しても構いません。
座って呼吸することが落ち着かないなら、歩きながら足裏の感覚へ意識を向けてもよいでしょう。
ワークの形を守ることよりも、自分をいたわる時間になっているかどうかが大切です。
ウェルネスを新しい義務にしないために
心や身体を整えるための習慣も、「毎日続けなければならない」と思い始めると、かえって自分を責める理由になってしまいます。
ウェルネスは、自分を管理するための厳しい規則ではありません。
できない日があることも、途中で休むことも、その日の自分に合わないワークを手放すことも含めて、自分を大切にするための選択です。
疲れ切った夜には、何もせず眠ることが、その日に最も必要な身体的ウェルネスかもしれません。
誰にも会いたくない日は、一人で静かに過ごすことが、社会的ウェルネスを守る選択になることもあります。
学びたくない日は、情報から離れて頭を休めることが、知的ウェルネスにつながります。
その日の自分に必要なことは、毎日同じではありません。
決めた習慣を守ることよりも、自分の状態に気づき、必要に応じて選び直すことを大切にしてください。
おわりに|今日の自分に、一つだけ心地よい時間を
ウェルネスの7つの次元は、すべてを完璧に満たすための課題ではありません。
日々の中で少し置き去りになっていた自分の感覚へ、もう一度気づくための視点です。
身体をゆっくり伸ばすこと。
今の気持ちを一言だけ書くこと。
小さな問いを残すこと。
誰かへ感謝を伝えること。
身の回りに少し余白をつくること。
今日できたことを認めること。
静かな時間の中で、自分にとって大切なものへ戻ること。
どれも、暮らしを大きく変えるものではありません。
けれども、こうした短い時間を重ねることで、自分の心や身体、日々の過ごし方との関係が、少しずつ穏やかなものへ変わっていくことがあります。
まずは今日、一つだけ。
今の自分が少し心地よくなれそうなワークを選び、自分を大切にする時間として始めてみてください。
参考資料
Six Dimensions of Wellness – Wellness Alliance(旧National Wellness Institute) https://www.wellnessalliance.org/resources-and-tools/six-dimensions-of-wellness