セルフケアのやり方|自分に合った整え方の見つけ方と実践手順

セルフケアという言葉は広く知られるようになり、「自分を整えることが大切」と感じている方も多いと思います。

けれど、いざ取り入れようとすると迷います。

何をすればいいのか。休めばいいのか、体を動かしたほうがいいのか。いろいろ試しているのに、なぜか整った感じがしない。最初は続いても、忙しくなるといつの間にかやめている。

こうしたことが起きるのは、セルフケアが単なる「方法の集まり」ではないからです。

大切なのは、まず今の自分がどんな状態なのかを見ること。そのうえで、その状態に合うものを選びます。

この記事では、「何をするか」を探す前のところから、自分に合ったセルフケアを組み立てていく流れを整理します。

 

セルフケアは「方法」よりも「見方」で決まる

調子がよくないとき、私たちはすぐに方法を探しがちです。

運動したほうがいい。早く寝たほうがいい。瞑想をしたほうがいい。気分転換をしたほうがいい。

どれも役立つことはあります。ただ、それが今の自分に必要かどうかは別の話です。

たとえば、同じ「気分が重い」という感覚でも、前の晩にほとんど眠れていない人と、人間関係のことを何日も考え続けている人では、必要なことが違います。

一日中座りっぱなしで体が固まっているなら、少し歩くことで楽になるかもしれません。反対に、体力を使い切っている日に「健康のため」と運動を増やせば、さらに疲れてしまうこともあります。

方法が悪いのではなく、今の状態と合っていない。

セルフケアがしっくりこないときは、まずここを疑ってみると整理しやすくなります。

 

まず「今どこが乱れているのか」を見る

セルフケアを始める前に、少しだけ自分の状態を分けて見てみましょう。

細かく分析する必要はありません。「今いちばん気になっているのはどこだろう」と考えるくらいで十分です。

 

身体の状態

疲れが抜けない。眠い。肩や腰が重い。食欲が落ちている。反対に、疲れているのに眠れない。

こうした状態が目立つなら、まず体を回復させることを優先してみます。

この段階で何か新しい習慣を増やすより、睡眠時間を確保する、予定を減らす、温かい食事を取る、少し横になるといった基本的なことのほうが合っている場合があります。

疲れが抜けにくいときの生活の整え方については、こちらの記事でも詳しくまとめています。

→ 慢性的な疲れが抜けない人が見直したい回復習慣の整え方

 

生活の状態

寝る時間が日によって大きく違う。食事を取る時間もばらばら。仕事と休憩の境目がなく、気づけば夜まで画面を見ている。

そんなときは、気持ちを整える方法を増やすより、生活のリズムそのものを少し戻すほうが先かもしれません。

毎日完璧な時間割にする必要はありません。起きる時間を大きくずらさない、眠る前だけ仕事をしない、昼食を抜かない。まず一つ整えるだけでも、体調や気分の見え方が変わることがあります。

睡眠が気になる方は、眠る時間だけでなく寝室の環境も一度確認してみてください。

→ 睡眠の質が上がらない人が見直したい寝室環境の整え方

 

心の状態

何度も同じことを考えてしまう。気持ちが落ち着かない。イライラが続く。何かをしていても別のことが頭から離れない。

こうしたときは、思考や感情から少し距離を取る時間が必要なことがあります。

紙に書き出す。散歩をする。スマートフォンから離れる。信頼できる人と話す。静かな場所で一人になる。

ただし、極端に寝不足だったり、食事が取れていなかったりするなら、先にそちらを整えたほうが落ち着きやすいこともあります。心と身体はきれいに分けられるものではないので、一方だけを見すぎないことも大切です。

 

環境や人間関係

自分の内側を整えようとしても、毎日過ごしている環境そのものが負担になっていることがあります。

落ち着ける場所がない。仕事の連絡がいつまでも続く。特定の人と会うたびに消耗する。予定が詰まりすぎて、一人になる時間がない。

こうした場合は、自分の気持ちだけを変えようとしないことも必要です。

距離を取る。予定を減らす。通知を切る。休める場所をつくる。環境側を変えることも、セルフケアの一部です。

 

整える順番を考える

いくつか気になるところが見えてきたら、全部を同時に整えようとせず、今いちばん土台になっているものから手をつけます。

たとえば、数日まともに眠れていないなら、まず睡眠です。

睡眠不足の状態で「もっと前向きに考えよう」としたり、新しい運動習慣を始めたりしても、続けること自体が負担になるかもしれません。

反対に、睡眠も食事も取れているのに、仕事のことばかり考えて休めないのであれば、今度は情報から離れる時間や、仕事との境界をつくることが必要になります。

身体、生活、心という順番は、一つの目安として使えます。ただし、いつでもこの順番でなければならないわけではありません。

大切なのは、「今いちばん崩れているところはどこか」を見て、そこから手をつけることです。

 

「何かを足す」前に、負担を減らしてみる

セルフケアというと、新しい習慣を取り入れることを考えやすくなります。

けれど、すでに疲れている人にとっては、新しいことが一つ増えるだけでも負担です。

そんなときは、何を始めるかではなく、何を減らせるかを見てみます。

寝る直前まで見ているスマートフォンを少し早く置く。休日の予定を一つ減らす。頼まれごとをすべて引き受けない。疲れている日は家事を一部あとに回す。

何かをしないことも、十分にセルフケアになります。

とくに「毎日やらなければならないこと」が多すぎるときは、新しいリラックス法を加えるより、まず一つ減らしたほうが余白が戻ることがあります。

 

小さく始める

状態を整えたいと思ったときほど、一気に変えたくなるものです。

今日から毎日30分歩く。夜は必ずストレッチをする。食事も睡眠も全部見直す。

最初の数日はできても、忙しい日が来ると崩れます。

そこで、最初から少し小さすぎるくらいにしてみます。

歩くなら5分。ストレッチなら一つ。眠る時間を整えるなら、いきなり1時間早めるのではなく、まず15分だけ早く布団へ入る。

セルフケアでは、「どれだけできたか」より、「実際の生活の中でできるか」が重要です。

小さな行動なら、その日の状態に合わせて続けやすくなりますし、余裕がある日は自然にもう少し増やすこともできます。

 

整う人は「戻れる形」を持っている

どれだけ生活を整えても、ずっと同じ状態が続くわけではありません。

仕事が忙しくなれば寝る時間が遅くなることもあります。旅行や予定が続けば食事が乱れることもあります。何もしたくない日も当然あります。

セルフケアで大切なのは、崩れないことではなく、崩れたあとに戻れることです。

たとえば、「眠る前は照明を落とす」「疲れている日は湯船に入る」「考えすぎているときは10分歩く」など、自分なりに戻りやすい行動をいくつか持っておきます。

全部を毎日する必要はありません。

調子が崩れたときに、「そういえば、これをすると少し楽だった」と思い出せるものがある。それだけでも違います。

続けることを目標にすると、一度途切れたことが失敗に見えます。戻ることを前提にすると、数日できなかったとしても、そこで終わりにはなりません。

セルフケアを続けやすくするための考え方については、こちらの記事でも詳しく整理しています。

→ セルフケアを続けるコツ|無理なく習慣化するための考え方

 

また、整える行動を始めるきっかけとして道具を使いたい方はこちらも参考にしてください。

→ セルフケア用品の選び方|続けやすくするための補助ツール

 

まとめ|セルフケアは「自分の状態に合わせて整えること」

セルフケアは、決まった方法を毎日こなすことではありません。

まず今の自分を見る。身体が疲れているのか、生活のリズムが崩れているのか、考えごとが続いているのか、環境そのものに負担があるのか。

そこが見えてから、その状態に合うことを一つ選びます。

必要なら何かを始める。すでに負担が多いなら、反対に一つ減らす。余裕がなければ、小さくする。そして崩れたら、また戻る。

この流れがあると、セルフケアは「自分をきちんと管理するためのもの」ではなく、そのときの自分に合わせて調整するためのものになります。

まずは今日、「何をしたらいいか」ではなく、「今の自分はどんな状態だろう」と一度確認するところから始めてみてください。

セルフケアの意味や種類から整理したい方は、こちらの記事も参考にしてください。

→ セルフケアとは?意味・基本・簡単にできる考え方をわかりやすく解説

→ セルフケアの種類一覧|心・身体・生活習慣ごとにわかりやすく整理

 

参考資料


厚生労働省「こころの耳 働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト」 https://kokoro.mhlw.go.jp/
厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/suimin/index.html

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