
セルフケアとは?意味・基本・簡単にできる考え方をわかりやすく解説
なんとなく疲れが抜けない。気分が整わない。以前より体調が安定しにくくなった。
そんなときに、「セルフケア」という言葉を目にすることがあります。
けれど、セルフケアはかなり広い意味で使われているため、「結局、何をすればいいのだろう」とわかりにくくなることもあります。よく眠ることなのか、運動することなのか、気分転換をすることなのか。美容や健康のための習慣まで含まれるのか。
セルフケアは、何か特別な方法の名前ではありません。
自分の心や身体、生活の状態に気づき、必要なところを日常の中で少し整えること。そのくらい広く、身近なものとして考えるとわかりやすくなります。
この記事では、セルフケアとは何かという基本から、日常でできる方法、続けるときの考え方までを整理します。
セルフケアとは何か
セルフケアとは、自分の状態に目を向け、健康や生活を保つために自分で行うケアのことです。
対象になるのは身体だけではありません。
睡眠、食事、運動、休息といった身体に近い部分もあれば、ストレスや感情、考えごと、人間関係、仕事との距離、過ごしている環境なども含まれます。
たとえば、疲れているから今日は早く眠る。食事を抜く日が続いていたので、きちんと一食取る。ずっと画面を見ていたので少し外を歩く。人との予定が続いていたから、一人で過ごす時間をつくる。
これらもすべて、セルフケアとして考えることができます。
つまり、「セルフケアをする時間」を新しくつくらなくても、普段の生活の中で自分の状態に合わせて行動を調整すること自体がセルフケアになります。
セルフケアは医療の代わりではない
セルフケアは、自分でできる日常的なケアです。
そのため、病気や強い不調まで自分だけで何とかするという意味ではありません。
日々の睡眠や食事を整えることと、必要なときに医療機関や専門家へ相談することは対立するものではありません。自分でできる範囲を整えながら、自分だけでは難しいときには助けを借りる。
その判断も含めて、自分の状態を大切に扱うことだと考えられます。
セルフケアが必要とされる理由
セルフケアという考え方が身近になった背景には、日常の中で受け取る負担の多さがあります。
仕事や家事、人間関係だけでなく、スマートフォンを開けば次々と情報が入り、休憩時間にも連絡が届きます。体は座っていても、頭は長い時間動き続けているということも珍しくありません。
その一方で、少しくらい疲れていても予定は続きます。
「まだ動けるから」と休息を後回しにし、睡眠時間が少しずつ短くなる。食事が簡単なもので済む日が増える。休日も予定を入れ、気づいたときにはずっと疲れている。
不調は、必ずしもある日突然始まるわけではありません。
小さな負担が重なった結果として、「最近なんとなく調子が悪い」という状態になることもあります。
大きく崩れる前の小さな変化を見る
セルフケアが役立つのは、調子を崩したあとだけではありません。
いつもより寝つきが悪い。朝起きるのが少しつらい。人に会ったあと以前より疲れる。食事を適当に済ませる日が増えた。
こうした小さな変化に気づいた段階で、「最近少し余裕がないかもしれない」と見直すことができます。
そこで予定を減らす、早く休む、食事を整えるなどの調整ができれば、大きく崩れる前に戻りやすくなります。
まず自分の状態を知る
セルフケアで最初に必要なのは、何かを始めることではありません。
今、自分はどうなっているのかを見ることです。
眠れていないのか。身体が疲れているのか。考えごとが多いのか。人との関わりで消耗しているのか。生活そのものが忙しすぎるのか。
状態が違えば、必要なことも変わります。
疲れきっている人には休息が必要ですし、一日中家にこもって頭ばかり使っている人なら、少し外へ出て歩くほうが気分転換になるかもしれません。
セルフケアは、「何をすると健康によいか」という一般論だけではなく、「今の自分には何が必要か」を見るところから始まります。
セルフケアの基本的な考え方
セルフケアを考えるとき、つい新しい方法を探したくなります。
サプリメントを取り入れる。運動を始める。朝の習慣をつくる。瞑想をする。
もちろん、それらが合うこともあります。
ただ、すでに生活がいっぱいになっている人にとって、新しい習慣が増えることは、それ自体が負担になる場合があります。
そこで最初に見るのは、「何を足すか」ではなく「今、何が負担になっているか」です。
まずは引き算から考える
夜遅くまでスマートフォンを見ているなら、見る時間を少し短くする。
休日まで予定が埋まっているなら、一つ空ける。頼まれごとを引き受けすぎているなら、ひとつ断る。疲れている日に、無理にいつものルーティンを全部こなさない。
何かを減らすことも、十分にセルフケアです。
むしろ余裕がない時期には、新しい健康習慣を増やすより、すでにかかっている負担を一つ減らすほうが楽になることもあります。
完璧な状態を目指さない
セルフケアは、毎日きれいに整った生活を続けることではありません。
いつも同じ時間に眠り、毎食バランスよく食べ、毎日運動し、気分も安定している。そこまでを基準にすると、少し崩れただけでも「できていない」と感じてしまいます。
生活には波があります。
忙しい週もあれば、よく眠れない夜もあります。外食が続くことも、何もしたくない休日もあります。
そのたびに完璧へ戻そうとするのではなく、「今日は少し早く眠ろう」「次の食事はきちんと取ろう」と、その都度小さく戻していく。
そのくらいの柔らかさがあるほうが、セルフケアは日常に残りやすくなります。
簡単にできるセルフケアの例
セルフケアは、まとまった時間を確保して行うものばかりではありません。
普段の生活の中で少し変えられることから始められます。
睡眠を整える
疲れが抜けないときは、まず睡眠を見てみましょう。
単純に眠る時間が足りていないこともあれば、布団には長く入っていても途中で何度も目が覚めていることもあります。
眠る直前までスマートフォンを見ているなら、いつもより少し早く置く。夜遅い時間のカフェインを減らす。休日も起きる時間を極端にずらさない。
すべてを一度に変える必要はありません。
寝室の暑さや寒さ、光、音なども眠りに関係します。睡眠時間は取れているのに休んだ感じがしない方は、寝室そのものも確認してみてください。
食事を整える
セルフケアとして食事を考えるとき、細かな栄養計算から始める必要はありません。
食事を抜く日が多くなっていないか。同じようなものばかり食べていないか。水分をほとんど取らずに過ごしていないか。
まずは、崩れているところを一つ戻します。
朝食を抜いているなら何か口にする。昼食がパンだけなら、卵や乳製品、スープなどを加える。野菜が少ない日には、次の食事で少し足す。
毎回理想的な食事でなくても、一日や数日の中で整えていけば十分です。
少し身体を動かす
運動も、必ず本格的に行う必要はありません。
一日中座っていたなら、立って肩を回す。少し外へ歩きに行く。寝る前に背中を伸ばす。
疲れている日に運動を増やす必要はありませんが、「疲れているのに身体はほとんど動かしていない」という日は、少し動くことで気分や身体の重さが変わることもあります。
慢性的に疲れが残るときの回復習慣については、こちらの記事でも詳しく整理しています。
心を休ませる
考えごとが止まらないときは、それ以上考えて解決しようとしない時間をつくることもセルフケアです。
紙に気持ちを書いてみる。少し歩く。スマートフォンを置く。音楽を聴く。静かに湯船へ浸かる。
何が合うかは人によって違います。
大切なのは、無理に前向きな気分へ変えようとしないことです。「今、かなり疲れている」「今日は人と話したくない」と気づくだけでも、次に何をするかは選びやすくなります。
休んでも疲れが残りやすい方は、休息の過ごし方そのものを見直してみてもよいでしょう。
→ その疲れ、休み方が原因かもしれません|回復できる休息とできない休息の違い
環境を少し整える
セルフケアは、自分自身への働きかけだけではありません。
周囲の環境を変えることも含まれます。
机の上が物でいっぱいなら、一部分だけ空ける。部屋の空気がこもっていたら窓を開ける。夜になったら照明を少し落とす。眠る場所の周囲だけ片づける。
環境から受ける刺激が減ると、自分が頑張って落ち着こうとしなくても、少し過ごしやすくなることがあります。
セルフケアを続けるために見直したいこと
セルフケアは、一度だけ行って終わるものというより、必要なときに繰り返し使うものです。
だからこそ、立派な方法より、生活の中で無理なくできることのほうが役立ちます。
一度に多くのことを始めない
生活を整えようと思った日に、睡眠、食事、運動、入浴、日記まで全部始める。
最初はできても、それを毎日続けるのは大変です。
まず一つだけ選びます。
寝る前のスマートフォンを少し早く置く。昼休みに5分歩く。朝に水分を取る。
それが生活へ自然に入ったあとで、必要なら次を考えれば十分です。
自分に合う方法を選ぶ
人によって、休み方も整い方も違います。
身体を動かすと気分が変わる人もいれば、疲れているときには静かに一人で過ごしたい人もいます。誰かと話すことで整理される人もいれば、一度ひとりになるほうが落ち着く人もいます。
「一般的に良い」と言われていることを続けていても、負担ばかり増えるなら、その方法を変えて構いません。
セルフケアは、自分に合う形を探しながら使うものです。
できなかった日を区切りにしない
一日できなかったからといって、それまでのセルフケアが無駄になるわけではありません。
忙しい日はあります。何もしたくない日もあります。
そんな日は休み、翌日や翌週にまた戻ればよい。
セルフケアを長く続けるなら、「毎日できること」より「途切れても戻れること」のほうが大切です。
セルフケアで注意したいこと
セルフケアという言葉が広がると、「自分のことは自分で整えなければ」という受け取り方になることがあります。
けれど、すべてを自分だけで調整できるわけではありません。
仕事量が多すぎる。家庭の事情で休めない。人間関係の負担が大きい。住んでいる環境をすぐには変えられない。
そうした外側の条件も、心身の状態へ影響します。
すべてを自己責任にしない
調子が悪いときに、「もっと自分で整えればよかった」と責める必要はありません。
セルフケアは、自分を管理するための評価基準ではなく、今ある負担を少し減らすために使うものです。
自分で変えられるところは整える。変えにくいものは、距離の取り方や助けの借り方を考える。
そのくらいの捉え方でよいでしょう。
自分だけで抱え込まない
強い疲れや不眠、気分の落ち込み、食欲の大きな変化などが続き、普段の生活にも影響している場合は、セルフケアだけに頼らず、医療機関や専門家へ相談することも大切です。
セルフケアでできることと、人の力を借りたほうがよいことは分けて考えられます。
まとめ|セルフケアは日常を整えること
セルフケアとは、特別な健康法やリラックス法だけを指すものではありません。
自分の心や身体、生活の状態に気づき、必要なところを日常の中で整えていくことです。
疲れているなら休む。眠れていないなら睡眠を見直す。考えすぎているなら少し情報から離れる。予定が多すぎるなら減らす。過ごしている場所が落ち着かないなら環境を変える。
方法より先に、今の状態があります。
そして、何かを増やすことだけがセルフケアではありません。負担を一つ減らすこと、何もしない時間をつくること、できない日は休むことも含まれます。
毎日完璧に続ける必要もありません。少し崩れたときに、また自分に合う状態へ戻していく。その繰り返しで十分です。
まずは、「セルフケアとして何をしよう」と考える前に、今の自分がどんな状態なのかを一度見てみてください。
身体、心、生活習慣、環境、人間関係など、セルフケアの具体的な種類については、こちらの記事で詳しく整理しています。
→ セルフケアの種類一覧|心・身体・生活習慣ごとにわかりやすく整理
参考資料
厚生労働省「こころの耳 働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト」 https://kokoro.mhlw.go.jp/
厚生労働省「休養・こころの健康」 https://www.mhlw.go.jp/www1/topics/kenko21_11/b3.html